目黒寄生虫館で寄生虫の魅力に迫る!

先日、ずっと気になっていた目黒寄生虫館に行ってきました。

整然と並ぶ寄生虫たち。理科の実験室を思い出しますね。

寄生虫は標本やスケッチなど展示されているものだけでも楽しめますが、本を読んで知識をつけてから行くと面白さが倍増します。

標本を見ながら「これがオスのカニを去勢するウンモンフクロムシか」「この長い日本海裂頭条虫の一つ一つの節に、精巣と卵巣が敷き詰められている……」と考えると何時間でも眺めていられます。

寄生虫館に行く前に『増補版 寄生蟲図鑑 ふしぎな世界の住人たち』を読んでおくことを強くおすすめします。

※館内にも標本の横にキャプションがついていますので、ご安心ください。ただ場所が限られているので、より楽しみたい場合は読書後がおすすめです。

本書は目黒寄生虫館が監修しているので「寄生虫館に展示してあります」などの記述が随所にあり、行くモチベーションも高まりますし行った後も楽しめる!まさに一石二鳥でございます。

この本のほかに『絵でわかる寄生虫の世界』もおすすめ。

『増補版 寄生蟲図鑑 ふしぎな世界の住人たち』よりも本格的な内容で、専門家が読むことを想定して書かれているような内容でした。ごりごり文系の私は、読むのに骨が折れます……。

でも面白かったので、何とか読了することができました!

この本の中で「行動を操つる寄生虫」が、私の一番すきな項目です。

例えば以下のような内容が書かれています。

フクロムシに寄生されたカニは、オスであってもメス化する。そのカニは寄生虫の子どもをかいがいしく世話し、幼生を放出するときはカニ自身の幼生を放出するときのような姿勢で腹部を震わせる。

鉤頭虫(こうとうちゅう)プラギオリンクスの幼生に寄生されたワラジムシは、本来生活している日陰ではなく日なたに出るようになる。これはプラギオリンクスの終宿主である鳥に捕食されやすくするため。

槍形吸虫(やりがたきゅうちゅう)は、アリを経由してヤギや羊に寄生する。そのため槍形吸虫の幼虫は、アリが草の先端に噛みついたまま顎を開けられなくさせて羊に捕食されやすくするよう仕向ける。

鉤頭虫や吸虫と言われてもイメージがつかないかと思いますので、目黒寄生虫館にあった図を貼っておきますね。

このように寄生虫自身が有利に生存するため宿主の行動を操る例は、たくさんあります。
この手の残酷な話がすきな方は『えげつない! 寄生生物』がおすすめ。

この本は一般向けで、難しい物質名などはほぼ出てきません。

タイトルの通り、寄生虫のえげつない生存戦略が面白く書かれています。

章のはじめに漫画がついているので、子どもでも楽しめそうな一冊です。

その漫画も表紙のかわいらしいイラストで統一されているので、リアルでグロテスクな写真などが苦手な人も読めると思います。

生物も化学も赤点だった私が、なぜここまで寄生虫に惹かれ、免疫の勉強まで始めてしまったのか……

私にとって寄生虫の魅力とは「多様であり、人間よりもはるかに単純なつくりをした生き物であること。単純なはずの生き物が数々の生存戦略を駆使して生き残っている」ことです。

多様な生存戦略に自然の神秘を感じることも、惹きつけられる要因かもしれません。

ゴキブリをゾンビ化させて幼虫の生き餌にするエメラルドゴキブリバチがいます。エメラルドゴキブリバチは、ゴキブリの逃避反射を制御する神経細胞に毒を送り込み逃げられなくします。

科学者でもないただのハチが、進化の過程でその毒を作り上げるってすごすぎませんか。

しかしエメラルドゴキブリバチのようにすべての寄生虫が解明されているわけではありません。

どのように宿主を操っているのか、どんな毒を使っているのかわからないことはまだまだあります。

未知の部分が多いこともロマンを掻き立てられますね。

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